渋い雑居ビルの一角にオフィスを設計した。施主は広告代理店を営んでいて、外回りが多く全員が集まることがないのでノマド的に使用したいこと、おおきな展示物の確認を行いたいこと、ゆったりと空間を使いたいこと、味のある素材を使用したいこと、などを要望された。
そこで、固定席ではないノマドオフィスに適合しながら、不整形なテナント形状の余白を生かすおおきな台形のテーブルをふたつ配置した。組み合わせると3000x3000になるテーブルは、展示物の確認や、大人数での会議やイベントにも対応させる目論見だ。照明はそのアウトラインをなぞるように、LED管を数珠繋ぎに配した。矩形のテーブルと照明で不整形な平面空間を調律するような効果を期待している。
床、家具、キッチンの素材のほぼすべては、工務店とともに解体現場に足を運び、せっせと仕入れた足場板を乾燥させ加工したものだ。廃材をていねいに捌き、手間をかけながらも最小限の資材でつくりあげると、くすんでいた足場板も水を得た魚のように生き生きとした表情となった。永くそこにあったかのようなインテリアとなったような気がしているのは、写真でもお伝わりいただければ幸いだ。
BLUEとGREEN/警固のオフィス
office of KEGO
interior renovation 2016